

right to decide
「――、――……」
1人、また1人と救出していく。
まず間違いなく、猟兵達のおかげでエルグランデという人々は救われている。
それに協力するのは、すごく、心地よい。
だけど、それを続けることで自分の死が近づいていることを感じる。
ミテラ・ミメーシスが近づくほどに、人々が救出される毎に。
自分が、どんな『人間』だったかを忘れてしまう。
200年という、長い年月。
自分にとってはさほど長いとは感じなくても、
『人間』になって長いと感じるようになってしまった時間。
だけど自分が『人間』として生きる知識は、
この長い年月がなければ得ることは出来なかっただろう。
……誰も人を助けるなんてしなかった200年前に比べれば、
今の時代のエルグランデはとても素晴らしいものになった。
人と人が助け合うなんてこと、この地に降りたときは考えつかなかったかもしれない。
ミテラ・ミメーシスが見限ったのは、そういうところだったのかも。
だけど、永遠の命を手に入れた『彼』が生まれてから変わった。
命というものに干渉できるようになってから世界は大きく変わったのだ。
『彼』の存在があったからこそ、今の世界があり得るとさえ言える。
「……でも」
でも、『彼』はきっと。
それを呪いだと称するだろう。
『永遠とも言える命』なんて。
呪いと言わずして、何と称すればよいのだろう。
自分だって、同じように呪いだと考えてしまう。
200年生きている自分でさえも、そう考えてしまうんだ。
……けれど、ミテラ・ミメーシスの狙いはまさしくその呪いだ。
200年前にはなかったモノ。
永遠の命。永劫を生きる力。
どんなに刻まれようと、どんなに壊されようと。
生き続けてしまう、呪いが欲しいんだ。
「…………」
――自分に決定権なんて、ない。
『彼』と、『彼』に作られた子供達だけが持てる力。
それを自分がどうするかなんて、選ぶことは出来ない。
それを選ぶことが出来るのは――……。



これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル